2009/10/18

映画に(反)対して

9時45分起床。お風呂に入る。突然、ブックオフが古本を引き取りに来た。前もって連絡くれよなー。130冊で4500円也。他で高く売れそうな本(デリダとか)も入っていたし、なんだか損した気分。まー、仕方ない。もうブックオフには頼まないから。

査定をしてもらっているうちに食事の用意。ブランチはなす、ミニトマト、たまねぎとの中華風たまご炒め、もやしスープ。まあまあかな。ウォークインクローゼットを中途半端に掃除していたら出かける時間に。

日仏学院にて「映画に(反)対して ギー・ドゥボール特集」。『スペクタクルの社会』(1973)、『映画〈スペクタクルの社会〉に関してこれまでになされた毀誉褒貶相半ばする全評価に対する反駁』(1975)。ま、ある意味予想通りの作品。幕間に行なわれたフランス人研究者の発表を聴くうちに、眠気が出てくる。ぼやぼやする同時通訳のマイクのせいか、日本語の意味が剝がれるんだな。

で、休憩中、庭が濃霧で満たされている。中谷芙二子みたいだなと思ったら、本当に中谷とdoubleNegatives Architecture(市川創太ほか)のコラボレーションによる霧の彫刻であった。この組み合わせ、個人的なタイミングとしては、すごくびっくり。

で、ドゥボールが自身の活動を振り返る『われわれは夜に彷徨い歩こう、そしてすべてが火に焼き尽くされんことを』(1978)。こちらは紛うことなき傑作。だいぶ遅い時間になったので、シンポジウムは見ずに帰る。


夕飯はガールフレンドが作ってくれた。ペンネ・アラビアータ、ほうれん草、水菜、きゅうり、トマト、きのこのサラダ。アラビアータのソースはパンチェッタで作ったとのことで、シンプルな素材なのにめちゃくちゃ旨かった。感動の域。

食後にお掃除の続き。2時間くらいかけてウォークインクローゼットに広場をつくる。ゴミ袋8袋くらいをまとめてポイ。ついでにようやく衣替えを敢行する。おろしたてのマッキントッシュのコートに、念のため防水スプレーをかける。

お風呂に入ったあとに、いただきものの白ワインを2杯(Clarendelle Dillon 2006……って調べてみたら、シャトー・オー・ブリオンの主ではないですか! 贅沢です)。別の方からいただいた柿とともに。


ドイツの秋、別の視点から

JTP あなたにとってドイツ赤軍とは、なによりも女性の行動ですね。
GR そのとおりです。そこでは、女性たちが重要な役割を果たしたとも考えていますし、彼女たちは、男たちよりもずっと強い印象をわたしに与えました。
〔…〕
JTP テロによる犠牲者も描こうと思ったことがありますか。たとえば、ハンス=マルティン・シュライアーを。
GR 一度もありません。
〔…〕
JTP そうすると、ドイツ赤軍の死者たちは、彼らのイデオロギーの犠牲者ということになるでしょうか?
GR もちろんそうです。でもある特定の、左や右のイデオロギーの犠牲者というのではなく、イデオロギー的な態度全般の犠牲者です。むしろ、つねになくならない、人間的ジレンマと関連しています。非常に一般的にいえば、革命と挫折です。
JTP 特記すべきことに、アヴァンギャルドという概念は芸術だけでなく政治にも関わっています。芸術と革命的な反抗の間には、なにか関係があるのでしょうか? ドイツ赤軍のなにが、あなたのような成功したブルジョア芸術家の興味をひくのでしょうか? 彼らの行為ではないでしょう?
GR いえ、行為ですとも。なぜなら、そこではだれかが根本からなにかを変革しようとしており、そのなにかを人はよく理解できるのみならず、メダルの裏側ともみなせるからです。芸術もまた革新的といわれたことがありましたが……芸術は事実として革新的なのではなく、まさに芸の術として、まったくべつのやり方でそうなのです。
JTP 絵画とは現実批判であり、なにかまったく新しいものを生みだそうとする試みでしょうか?
GR なんにせよ芸術は……反世界です。なにかべつのことの計画であり、モデル、あるいは報道です。

「ヤン・トルン・プリッカーとの対談 連作《1977年10月18日》をめぐって 1989年」(ゲルハルト・リヒター『写真論/絵画論』清水穣訳、淡交社、所収)

このインタヴューからも、すでに20年が経過している。

2009/10/17

幸福な時代の書物

9時起床。かなり寝続けた! お蕎麦をゆでて朝食とする。シャワーを浴びて洗濯をして、そのあいだに藤子不二雄A『プロゴルファー猿』(1-2巻、中公文庫)を読む。
で、大荷物を持って、ガールフレンドと横浜へ向かう。電車内でお惣菜パン。1時間半かけて急いで準備して、プレゼン。今日はうまくいったなー。楽しかった。帰りの車内で加藤和彦の自死を知る。鬱だったらしい。なんだか、かなりショック。音楽はもちろんだが、俺は、ずいぶん昔にブックオフで購入した安井かずみとの共著『ニューヨーク・レストラン狂時代』『ヨーロッパ・レストラン新時代』を読み直そうと思う。幸福な時代の書物。
まっすぐ帰って一休み。おつかれさまでした。ということで、根津のワインバーにて乾杯。牛ほほ肉のコンフィほか、たらふく食べて飲む。気づけば2人でワイン1本半。あー、満足。おにぎり1個食べながら帰宅。カルピスウォーターを1リットル飲んで就寝。

2009/10/16

油断は禁物

9時起床。水草をいじりながら太陽の光を浴びる(これ、早起きの秘訣です)。漢方を湯に解いて飲み、9時半に朝食。うどんとお味噌汁。今日も調子よさげ。図書館に寄ってから出社。

昼食はひさびさに近所の公園でお弁当。田中長徳『さらばライカ──アナログ派のためのデジカメ活用術』(廣済堂出版)を読みながら。

夕方に退社し、病院へ。先々週の血液検査の結果が出て、ちょっとコレステロール値が高いといわれる。晴れて中年の仲間入りというわけです。からだの状態は良くなっているからSSRIは不要とのことで、一安心。ただし、油断するとくさくさした気分が忍びこんでくるので、気は引き締めなきゃいけない。

帰宅したら、ガールフレンドが先に帰っていた。借りてきた『花より男子』に読み耽っている。おなかが減ったというので、じゃがいもとベーコンの炒め物で餌付け。俺はさらにうどんをゆでて夕食とする。ブロッサム・ディアリー『Blossom Dearie』を聴きながら、赤ワインを1杯。

その後、ガールフレンドは外出、俺は家で科学実験したり『さらばライカ』の続きを読んだりしているうちに、そのまま寝てしまった。ありゃー。

2009/10/15

エドガー・ヴァレーズ、アンサンブル・モデルン、ビル・ヴィオラ

完全に忘れていたが、同志社大学でアンサンブル・ノマドによるリュック・フェラーリ、武満徹、エドガー・ヴァレーズの演奏があり、その中でビル・ヴィオラ『Déserts』の上映もあったようだ。この映像については、以下を参照のこと。しかもフランク・ザッパのプロデュースなんだな、これが。真面目に仕事をしていると、こういう奇跡が降ってくる。
ドイツの演奏家集団アンサンブル・モデルンは1993年、エドガー・ヴァレーズ(1885-1965)作品の連続演奏会の準備中に、有名な《砂漠 Déserts》について、ヴァレーズが残した、実現されなかったイメージ要素についての覚書を発見した。
「砂漠はわたしにとって、極めて喚起的な言葉である。それは空間を、そして寂寥と孤立を暗示する。わたしにとってそれは、砂や海や山や雪の中の、外界の不毛の地、さびれた都会の通り、むき出しで遠く離れたものを意味する自然の剝ぎ取られた様相というだけでなくどんな内視鏡でも届かない、精神の遠い内なる空間、神秘と本来的な孤独の世界をも意味するのだ」──エドガー・ヴァレーズ
(『ビル・ヴィオラ ヴィデオ・ワークス』NTT出版)

サラリーマンの欲望

9時起床。いい天気。太陽光線を浴びる。漢方を飲んだあと、朝食はガールフレンドが用意してくれた玄米、お味噌汁、ベーコンエッグ。トイレは朝から2回、ただし2回目は下す。

10時15分に家を出る。アタマとカラダがたちあがるまでに1時間15分かかったという計算だ。ということは、遅刻しないためには、えーと……。ま、とにかく今日は調子良さそうだ。11時頃から仕事。


昼食は神楽坂飯店で肉煮込み炒飯。

ついでに、日仏学院で今週末のギー・ドゥボール特集上映の前売券とパンフレット(彼のデビュー作『Mémoires』に敬意を表した紙ヤスリつきカバー!)を購入しておく。

さらに、向かいの法政大学へ。「和辻哲郎の書き込みを見よ!──和辻倫理学の今日的意義」展を観る。これはいい企画。誤訳をディスりまくる和辻先生を直接拝めるなんて。で、なんと、充実した図録がタダでもらえた! これは本当にお得である。

しまいに、駅前の喫茶店で一休み。就職案内板に群がる学生たちを見て思ったのは「会社を辞めるとか、そう簡単に思うもんじゃないな(思いがちだった)」ということ。就職って、ホントに大変だもんなあ……と思いつつ、カフェオレを一口すすって、さっき買ったドゥボール特集上映のパンフを開いたら、田崎英明が「働くな!」という論文を書いていた。


ほうぼうにメールを送ったり電話したあと、机をひさびさに片付けて、定時で退社。

スーパーに寄るとブリがあり、「照り焼きにしよう、しかもイタリア風の」と即座に思いつく。付け合わせはミニトマト、スライスオニオン、水菜。レシピはあらためてアップするつもり。

付け合わせを軽くタレに絡めるつもりが思いっきり炒めてしまい、少々イメージと違うものができたが、味はまあまあか。わかめ+お揚げ+じゃがいものお味噌汁、きゅうり+シソ+こんぶの浅漬けとともに。ガールフレンドと2人、ビール1缶、赤ワイン2杯。ビル・エヴァンス『Waltz for Debby』を聴きながら。このスコット・ラファロは本当にすごいよね。

食後は、暗闇でパソコンをしたり藤子不二雄A『笑ゥせぇるすまん』(4、5巻、中公文庫)を読んだり。それにしても『笑ゥせぇるすまん』に描かれたサラリーマンが抱える欲望のバリエーションは、あまりに少ないのではなかろうか。いや、こんなもんかも? さて、次は『プロゴルファー猿』だ!


写真上=サギ

写真下=誤訳を指摘しまくる和辻先生


2009/10/14

You Are What You Eat

10時15分起床。朝食は昨晩同様、たまご粥。同じように作ったのに、昨日のほうが味がよい。ウェイパーの使い方にいまいち慣れてないんだよな。からだの調子が「立ち上がる」までしばらく部屋で佇む。駅の蕎麦屋で温かいお蕎麦を食べてから会社へ。多木浩二『肖像写真』(岩波新書)を読みながら。

今日は早めに退社して、以前住んでいた区の役所まで戸籍謄本をとりにいく。電車内の「DMM FX」なる吊広告を見て衝撃を受ける。究極のエログロ。

その後、都内では一、二を争う良心的古本屋にて10冊ほど購入し、新宿の東急ハンズへ移動。だが、目当てのブツは見つからず。

帰宅後、『肖像写真』の続きを読むうちに寝てしまう。19時から20時半まで。帰宅したガールフレンドに起こされる。

夕食はガールフレンドと一緒に。玄米、わかめとお揚げのお味噌汁、タコ+クレソン+ラディッシュのマリネ、鮭のムニエル。いただいた赤ワイン「Taillevent Margaux 2006」を1杯だけ。

ガールフレンドとおしゃべり。大仕事が終わってだいぶ疲れている様子。きみはヘロヘロになっているのだ、産卵が終わった鮭のように(笑)。


古本で買った管啓次郎『ホノルル、ブラジル』(インスクリプト、800円也)の書き出しで、最近俺が日記で書いたことと似たようなことが書かれていた。やっぱり舌は前衛でなくちゃ。

「獲得された嗜好(アクワイアード・テイスト)」ということばがある。はじめは奇異でなじめない味だったものに、少しずつ親しんで、やがてそれが大好きになる。そんな経過が感じられる、おもしろい表現だ。(…)地上では、あらゆるものが食べられている。動物、植物、菌類、鉱物。毒でさえなければ(いや微弱なものなら毒であっても)、われら悪食のサルはすべてを口にし、よろこび、飽くことを知らない。その食物の圧倒的な多様性を織りなしたのが、このアクワイアード・テイストの連鎖だったことは、想像するだけで楽しい。p.5


人はよく「味覚は保守的だ」といいたがるが、絶対にそんなことはないと、ぼくは思う。舌は冒険を、新しい味を求めてやまない。(…)500年どころかわずか5年、5年どころかときには1日で、人の食生活はがらりと方向転換することがある。p.10